中味は同じ

               

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中味は同じ

2020年04月06日
「精神疾患の分類と診断の手引」P46

枯葉舞うパリの町で外国人から、フランス語で声を掛けられると、 ふっと、鎧も何もかも脱ぎたくなる日本人は少なくない。
相手が片言の日本語でも話してくれようものなら、もう、有頂天である。
相手の頭の中身も、人間性もわからずに、またわかったとしても関係なく映画の世界に浸り込んでしまう。
また、大衆食堂(レストラン)で、耳に心地のよいフランス語で歌うように話しているマドモアゼルたちのそばにいくと、たいていの日本人の男は、宙に舞ってしまう。

しかし、言葉がわかっていると、美しい軽やかな詩のように聞こえていた会話の、ほとんどが、「ああしんど」とか、
「このごろ肥えてしもうて」だの、 「あそこのケーキ、値段の割においしいわぁ」、「これバーゲンで買うたんぇ」とかで、
日本の社員食堂でよく聞いていた会話と、どうもあまり代わり映えしない。

考えてみれば、同じ人間同士、そんなに変わったことを考えているわけではない。
なにしろヒトゲノム計画の研究結果によれば、チンパンジーと我らヒトの遺伝子の違いは、わずか『1.7%』と推計されている。
これから考えると人種の差などは虫眼鏡で探しても見つからない程度のものである。
お互い裸のサル同士、包装に気を取られず中身でつき合いたいものである。

(出典) AMERICAN PSYCHIATRIC ASSOCIATION : Quick Reference to the DIAGNOSTIC CRITERIA from DSM-Ⅳ,1994 : 高橋三郎・大野裕・柴矢俊幸・共訳: DSM-Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引, 223~224頁, 医学書院, 1995より, 著者一部改変.
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