防衛機制④

               

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防衛機制④

2020年04月06日
「職場のメンタルヘルス」P93

G.反動形成(リアクションフォーメーション)
性欲や反抗心・侮蔑などの感情を正直に表現することが自尊心に反するときに
「道徳的言動」「慇懃無礼」や「過度の従順さ」など、全く逆の態度で示すことをいう。
思春期の青少年が性的なものに過度に潔癖な態度を示すのは、
自分自身の強すぎる性的欲求から自分を守るためである。

過度の“反動形成”行動は、「本音の隠し過ぎ」として相手に不快感を与える。
“反動形成”の目立つ人に対応するときは、
自分がその人の防衛的態度に反応を起こして苛立ったりしないように注意する。
「この人はどのような不安から自分を守ろうとしているのだろうか。何がその不安の原因なのか?」
を冷静に考えて必要な対応を講ずる。

H.退行(リグレッション)
ストレスが大き過ぎるとき、子供返りをして自分を守ることを“退行”という。
子供から大人になる成長過程には、楽しい時期もあれば苦しい時期もある。
“退行”では苦しみの原点を確かめるかのように、
その苦しみの種が蒔かれた時期まで戻るときと、
これとは逆に楽しかった時期まで戻るときがある。
楽しかった時期に戻ったときには、再び心のエネルギーを充電して再出発しやすい。
しかし、苦しみの時期に戻って固着してしまうと再出発は困難になる。

人間はらせん(螺旋)を描きながら成長する。
一時的な退行は次の成長のためのスクワット(しゃがみ込み)である。
焦らず力を蓄えさせるのも必要である。
ただし、適切な時期に再び成長を上向かせる働きかけをしなければならない。
働きかけは、本人が少し努力すれば成し遂げられるレベルの職務を与え結果を褒める、
という子供にするのと同様なものから、これとは逆にショック療法で退行からの追い出しのこともある。
後者の方法は回復は早いが、失敗する可能性も大きい。

(出典) AMERICAN PSYCHIATRIC ASSOCIATION : Quick Reference to the DIAGNOSTIC CRITERIA from DSM-Ⅳ,1994 : 高橋三郎・大野裕・柴矢俊幸・共訳: DSM-Ⅲ 職場のメンタルヘルス, 89~190頁, 医学書院, 1995より, 著者一部改変.
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