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2020年04月06日
「精神疾患の分類と診断の手引」P50

海外旅行は盛んになったが、雑誌の受け売り知識や絵はがきの確認だけで終わっていることがしばしばである。
例えば、フランスというと、人々はモードやワイン、料理に浮かれて過ごしているというイメージが大きい。
しかし、どこの国でも「真面目で仕事熱心」な人は同じくらいいるのである。

著者が留学していたフランスの研究室には、2人の対照的な助教授がいた。

1人は、ポストが空けば自動的に教授になれる資格を持っている。
朝の10時頃出てきて、お昼ご飯には十二分に時間を取る。
夕方遅くまでいることはしない。
家族サービスに徹している。

もう1人の助教授は、教授資格は持っていないため、いくら頑張ってもそれ以上のポストには上がれない。
彼は朝の6時から出てきて、昼食もそこそこに何時も上機嫌で仕事をしている。
日曜日も出てきていることがある。
ただ、いつも5時になるとどこかに消えてしまう。
1時間半程するとまた戻ってきて9時まで仕事をしてから家に帰る。
姿を消していた時間は、近くの湖へウインドサーフィンをやりにいっている。

2人が互いのライフスタイルを非難し合うことはない。
「国民性」というものはある。
しかし結局は個人個人の差のほうが大きい。
海外派遣は、互いに異なった生き方を理解する機会でもある。

(出典) AMERICAN PSYCHIATRIC ASSOCIATION : Quick Reference to the DIAGNOSTIC CRITERIA from DSM-Ⅳ,1994 : 高橋三郎・大野裕・柴矢俊幸・共訳: DSM-Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引, 223~224頁, 医学書院, 1995より, 著者一部改変.
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