ひな(雛)鳥症候群

               

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ひな(雛)鳥症候群

2020年02月17日
「精神疾患の分類と診断の手引」P42

思春期、または思春期を引き擦っている「大人」に多い。
ひな鳥は、親鳥が作ってくれた居心地の好い巣の中でじっと待っている。
親鳥が餌を運んでくると我先に身を乗り出して、 大きくくちばしを開けて鳴いて餌をねだり、口の中に入れてもらう。
ひな鳥は自分の日常行動を通じて親鳥との間の信頼関係をかち取ったわけではない。
「初めに信頼関係ありき」である。

これとは逆に、人間の大人の社会では、初めに行動があり、そのおまけ・報酬として信頼関係が得られる。

この症候群では、自分が常に暖かく迎えられるという幻想を抱き、現実ではその期待を裏切られ、悩み続ける。
この姿勢は生活全般にわたり、職場内外でのインフォーマルな交流(ざっくばらんな、直接仕事に関係していない付き合い)でも同様で、トラブルメーカーとなりやすい。

周囲からみると、些細な理由からでも適応障害を起こしやすい。
この場合には、抑うつ気分・不安気分・両価性(ひとつのことへの相反する感情反応や価値判断で迷うこと。例:愛憎半ばする)・仕事での不安定性・責任放棄・規律違反・無断欠勤などが目立ちはじめ、結局は、仕事ができなくなって自宅やアパートへ引き籠ってしまったりする。
しばしば転職を繰り返すが、自分の期待したレベルからの引き算でしか、現在の自己の状況を考えられない未熟さを引きずっているため、どこに転職したとしても状況は同じである。

この症候群は、それまでの成育歴で、一貫した理性的な親性に接することが必要である。
「直す」というよりも、その時その時のレベルにあった職務を与えて、始めはやや母性的な味付けも加え、本人が成長してくれば次第に父性的な味付けに変えていきながら教え「育てる」と考えるほうがよい。



(出典) AMERICAN PSYCHIATRIC ASSOCIATION : Quick Reference to the DIAGNOSTIC CRITERIA from DSM-Ⅳ,1994 : 高橋三郎・大野裕・柴矢俊幸・共訳: DSM-Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引, 223~224頁, 医学書院, 1995より, 著者一部改変.
ひな(雛)鳥症候群
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