"心の病"の診断について
なぜその診断名となるのでしょう?
治療が正しい判断のもとにされなければならないのは当たり前のことです。“心の病”には、いくつかの診断基準があります。日本では、世界保健機関(WHO,国連の公衆衛生部門)の国際疾病分類第10版(ICD-10)が公的に採用されています。医師は患者さんの話を聴きながら、その感情に共感すると同時に頭の中で診断基準を満たすかどうかチェックしているわけです。
しかし、精神症状や生活面での症状が診断基準を満たすだけで、"心の病"であると診断することは、しばしば誤診のもととなります。
他の原因は考えられませんか
“心の病”である条件
ICD-10に明記されているのですが、うつ病、社会(社交)恐怖、パニック障害などのいわゆる“ノイローゼ”や統合失調症などと確定診断するためには、その人の状態が、特定の身体疾患や物理化学的な原因※がないことを前提条件としています。つまり、これらの可能性がチェックされていない間は、確定診断とは言えないわけです。
※(1)アルコール・大麻などの化合物、(2)認知症、(3)てんかん・脳炎・変性・脳の怪我・腫瘍、
(4)血管障害、(5)内分泌異常、代謝疾患、(6)寄生虫、(7)薬の作用など
日々の診察での検査
これらを見分けることは、難しいようにも思われるかもしれませんが、おおげさに考えることはありません。脳神経12種類と身体の末梢神経、自律神経の概要については、視診に加えて人間の体の表面を、小さなハンマーのような打腱器・ピン・音叉などの単純な器具を使って検査したり、手足を曲げたり伸ばしたりするだけで知ることが出来ます。
“心”が身体的な命の上にくりひろげられる活動である以上、身体的な病気の可能性を常に忘れてならないのは、絶対的な医学のルールなのです。
その他の検査
上のような視診や簡単な検査、症状や病歴から脳自体の病的変化が推測されるときには、脳波検査(EEG)、画像検査(CT,MRI,MRA)や脳血流検査(SPECT)などが必要となります。内分泌異常や代謝疾患は、血液検査で知ることが出来ます。


